| しかし、スタッフが忙しく働く中、店長らしく振舞おうとするとどう動けばいいかわからない。バイトからは「頼りにならない」「前の店長はできたのに」とささやかれ、反発もされて退職者も出てくる。出社して駐車場から店までの十数メートルの足取りが重い半年間。ついにあるとき、思わずベテランの女性パートに店長業務の難しさを打ち明けると、「店長になってからまた成長したらいいやんやで!」と明るく言われて一気に肩の力が抜けた。
「とにかくお客様に喜んでほしい」。毎日朝礼を始めたり、日々の業務を通じて懸命にバイトにその想いを伝え、厨房には料理の仕上がりを「美味しそうやな」などと声をかけて意識を高めていく。少しでも売上が伸びると、いち早くバイトに報告して一体感を作って行った。すると少しずつみんなの表情や接客が変化し、数ヵ月後の店舗リニューアルで連日スタッフが団結して準備をする姿を見て初めて店長になれた気がした。
夜勤後でも社員と食事に出て交流を深め、新しい調理や接客システムを導入して工夫を重ねていくと、作業効率が上がって売上も伸び、スタッフだけで店が回るようになると休みも予定通りに取れるようになった。
30歳でまた別の店の立直しを志願すると、バイトから「淋しいけど、キャリアアップして下さいね」とまで声をかけられた。しかし、自信満々で臨んだ次の店では、1ヶ月が経っても思った店舗運営ができずに苦しんだ。
|